【感想】八十八ヶ所巡礼-『八+八』

 八十八ヶ所巡礼のファーストアルバム。全8曲入りのアルバムにボーナストラックが8曲収録されているということで実質2枚分聴けちゃうオトクさ。

 自分が八十八ヶ所巡礼を知るきっかけとなったのがM3″仏滅トリシュナー”のミュージックビデオである。youtubeでたまたま見かけて衝撃を受けたのをよく覚えている。胡散臭い見た目だし、変な感じの曲にも感じたが、とにかく最高だった。あまりにも虜になったせいで気がついたらアルバムを購入していた。谷口崇のジャケットは反応に困った。
 
 アルバムを再生するとびっくり箱のようにM1″具現化中”が飛び込んでくる。唸るようなギターが辺りを駆け巡り、そのままなだれ込むようにM2″日本”へと向かっていく。迸るエネルギーが演説じみた歌詞とともに銃弾のように放たれる。

 M3”仏滅トリシュナー”はなんとも夜行性な曲だ。うねるようにベースが這い回る。不気味な雰囲気が漂うものの、かといって聞きづらいかというとそんなことはなく、案外ポップにも聞こえるのが不思議である。

 M4″浮世デェト”は泣きのメロディが光る一曲。ピロピロとしたギターが心地よい。

 M5″八十八発”は個人的にさらっと聞ける割に意外と音自体は暴れまわっていたりするのが面白い。3分程度で駆け抜けていく良質なポップが基本的に好みなので、こういう曲が配置されているとそれだけで良いアルバムの証拠だと思ってしまう。

 ボーナストラックのほうはメインと比べるとB面集的な感じもあるが、バラエティ豊かなテイストの曲が並んでいるため、こっちのほうが楽しめる人もいるかもしれない。

 八十八ヶ所巡礼のアルバムは基本的に8曲で構成されており、リリース時期も8月18日が多かったりと、バンド名にちなんでかやたらと8と絡めてくる。全8曲と聴くと物足りないと感じるかもしれないが、1曲1曲のカロリーが高いことを考えると実際のところ満足感は高い。そもそも曲が良いというのもある。

 中でもこのファーストアルバムはボーナストラック込で全16曲入りとお買い得なボリュームとなっているので、八十八ヶ所巡礼に興味が出た方であればここから入るのはかなりおすすめである。ぜひ聴いてほしい。

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