【感想】八十八ヶ所巡礼-『○△□』

 八十八ヶ所巡礼の3枚目のアルバム。

 ファースト、セカンドとはちょっと方向性が変わったような印象を受ける。音としてはダークな方へと向かっているようで、前よりもメロウな曲が見られたり、実験的なほぼインストのような曲が入ったりと変化のあるアルバムである。

 M1″某WN○夜”の入りからしてやや神妙な面持ちであり、夜行性の生き物な感じはそのままに、夜が更に更けていったようだ。

 MVにもなっているM2″霊界ヌ~ボ~”ではアクセルを踏んだかのようにエンジンがかかる。疾走感がありながらもベースのうねり具合といい気持ち良い夜風が吹く。

 M5″異界逝コウ”は浮世デェト”がアダルトになったような色気を放つ。

 M6”惑う惑星”はかなり異質である。なにせ10分超の曲、それも演奏が大部分を占めるというプログレッシブな曲となっている。曲名の通り、ぼんやりと惑星の軌道に乗って漂っているかのような浮遊感を味わえる。没入感が心地よく、個人的には大好きな曲だったりする。

 M7″極楽いづこ”もこれまた今までにはなかった曲である。しっとりとしたメロウなバラードであり、終わりを感じさせる哀愁のあるメロディが泣かせる。

 かと思えば最後にやってくるのはM8″粛正の夜明け”。慌ただしく飛び込んでくる嵐のような音たちに思わず飛び起きそうになる。これまで溜め込んできたものを一気に爆発させるように弾けて終わる。

 とっつきやすさという意味では『八+八』や『SYG88』のほうがあり、本作及び次作の『0088』は玄人向けといったイメージがある。ただ、味わい深さはしっかりとあるので、いわゆるスルメ盤といった印象だ。


 

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