【感想】八十八ヶ所巡礼-『0088』

 八十八ヶ所巡礼の4枚目のアルバム。

 本作は珍しく8月18日(もしくは8日)ではなく、9月にリリースされたアルバムとなっている。そこら辺の事情はわからないが、もしかしたら難産だったのかもしれない。作品としては前作『○△□』から更にヘビーになり、重苦しさすら感じるこってりとしたものになった。

 それを象徴するのがM1″苦苦☆念仏”だろう。歌詞は文字通り念仏のように同じフレーズがひたすら、ひたすらループする。歌詞カードを見ると「〇〇×32」ととんでもない繰り返しが行われていたりと、混沌としたMVも相まって具合の悪いときに見る夢のような世界が広がる。

 M2″茫漠冥途草”はヘビーながらも清涼感のある曲となっている。地獄めいた音が連なる本作だが、三途の川を渡るかのような瑞々しさを感じる曲である。個人的にアルバムの中では一番好きな曲だったりする。

 M6″巡礼地獄”では酔っ払いが突然誰に向けてでもなく懺悔し出すかのような空間が繰り広げられる。どっしりとしたベースに支えられながら哀れにも許しを請おうとするのその姿には滑稽さと悲しみが入り混じったような感情を抱く。

 さながら地獄巡りだった旅路はとうとうM8″宇宙の末端☆彡”へと突き抜けていく。八十八ヶ所巡礼式スペースマウンテンは乗客の安全性など知ったこっちゃないかのようにぐるぐるとうごめく。

 アルコールでできた血の池地獄のようにずっしりとしたアルバムとなっているため、数ある八十八ヶ所巡礼の中でも好みが分かれるものとなっていると思う。ギターが目立ちやすい傾向にあるが、このアルバムではベースの音が強めな曲が多いので、そういった点でも異質な存在だと言える。

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