2009年リリースの全7曲のミニアルバム。ちなみに本作でメジャーデビューである。
全7曲というのはミニアルバムのボリュームとしては無難だが、なんとも不思議なのはやはり曲名。
M1″月曜日/無菌室”からM7″日曜日/浴室”という「曜日+部屋名」という組み合わせの曲名だけでアルバムが構成されている。一見無機質な印象を抱くが、いざ聴いてみるとこれがバラエティ豊かというか物語として面白いことになっている。
全体を通して語られるのは「僕」と「君」の数奇な物語であり、ジェットコースターのように展開されていく。アルバムを通しで聴き終えるとこれが確固たるコンセプトを持った作品として作られていることがわかり、曲単位ではなくアルバム単位で音楽を聴くことの面白さを味わうことができる。しかし、何より凄まじいのがこれがわずか30分程度のボリュームのミニアルバムでしかないにも関わらず、作品としての骨太さはガッチリとしていることだと思う。こうしたアルバムを通した構成が今後も作られていくわけだが、それを実現させるための基礎はここからすでに出来上がっている気がする。
個人的に気に入っているのはM2”火曜日/空室”。弾むようなテンポにどことなく不穏な空気が漂う、楽しさと危うさを併せ持つ曲となっている。
そして、なんといってもクライマックスのM7”日曜日/浴室”は物語の締めを飾るのにふさわしいエンドロール感漂う曲となっている。おそらくハッピーエンドではないであろう物語が残酷にも終わりを告げる様が美しい。ラストの歌詞の儚さも妙に耳に残る。
本作がメジャーデビューということもあり、色々と説明はいいからこれを聞けば良さはわかるだろうとでもいうかのような名刺代わりの素晴らしいミニアルバムだと思う。この『Ghost Apple』に続けてあの『Family Record』というアルバムが繰り出されるのだからすごいですよ、ええ。People In The Boxに触れるという意味でもいいし、なにかコンセプトアルバムというものを聴いてみたいという人にもおすすめである。
『Ghost Apple』
1.月曜日 / 無菌室
2.火曜日 / 空室
3.水曜日 / 密室
4.木曜日 / 寝室
5.金曜日 / 集中治療室
6.土曜日 / 待合室
7.日曜日 / 浴室