【感想】People In The Box-『Sky Mouth』

 2010年リリースのシングル。シングル?

 全3曲ということで世間一般的にはシングル扱いだが、1曲目の”生物学”が前奏曲のような存在なので、シングルとしては変な構成をしている。これがアルバムの最初であればけっこうワクワクする雰囲気の曲だが、シングルの1曲目という本来看板を配置する場所に置かれているので面食らう。

 M2”天使の胃袋”。「天使」と「胃袋」という一見相容れない単語の組み合わせである。歪んだギターに乗せてダークな世界を駆け抜けていくような始まりからサビへ入ると一気に爽やかな印象へと変わっていくので、曲名のように面白い緩急の付け方となっている。どことなくダークファンタジーのような曲である。

 M3″冷血と作法”。曲名といい曲調といい刺激的な曲。初めて聴いたときに衝撃を受けたピープルの曲ランキング上位に入る曲だと思う。音といい歌詞といい終始不穏な空気が流れ続け、最後には取り繕ったかのような明るさで終わっていく。残酷にも感じられるが、曲としてはどうしようもなく美しいのが憎い。

 アルバムとシングルは別ということで収録されている曲は本シングルにしか収録されていないが、”冷血と作法”を聴くためだけでも価値があるシングルになっているので、アルバムを聴いていいなと思ったら本シングルもぜひおすすめである。時期的には『Ghost Apple』と『Family Record』の間にリリースされており、曲の良さは折り紙付きだ。

『Sky Mouth』
1.生物学
2.天使の胃袋
3.冷血と作法

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