【感想】People In The Box-『Frog Queen』

 2007年リリースのPeople in the boxの記念すべきファーストアルバム。

 M1″はじまりの国”でアルバムが始まるっていうのがいいですね。疾走感を感じさせる1曲。続くM2″水面上のアリア”もこれまた駆け抜けるように流れていく。この頃のジャキっとした音の感じも荒々しさを感じさせつつもそれはそれで鋭さがあって刺激的である。”はじまりの国”を以前スピッツの草野マサムネさんがラジオでかけていたような記憶がある。最近のことではないのでもしかしたら間違っているかもしれない。

 M3″犬猫芝居”では雰囲気が少し変わって、色々と風情を感じさせる曲になっている。よく世界観が~といった感じで良さを伝えたくなるバンドだが、この曲はまさにそんな言葉を思わず使いたくなる曲だ。

 M4″バースデイ”はラストサビでの解放感が凄まじい。それまで溜めて溜めての盛り上がりは展開としてやはり痺れる。「バイオリン コントラバス チェロ ティンパニ ホルン」なんていう単語の羅列がこうしてメロディに乗ると見事に溶け込むのだから面白い。こういうシャウトっぽい激しさは初期の良さだと思う。ヨーロッパのライブバージョンとかあのシャウトがあると一気に引き込まれるのだが、まあそれはそれ。

 個人的に3分位の尺でさらっと駆け抜けていく曲に魅力を感じる性質で、M8″ペーパートリップ”はまさにその好みにぶっ刺さる曲である。詩的な歌詞を風のように運んでいく。こういう曲をしれっとアルバムの終盤に配置するんだから最高としか言いようがない。

 インディーズ時代のアルバムということで最近の作品に比べると音など荒っぽい部分もあるが、リリース元は残響レコードということでクオリティはお墨付きである。なによりこの頃の雰囲気は何者にも代えがたい魅力があるのでぜひとも聴いてほしい。

『Frog Queen』
1.はじまりの国
2.水面上のアリア
3.犬猫芝居
4.バースデイ
5.失業クイーン
6.泥の中の生活
7.六月の空を照らす
8.ペーパートリップ
9.一度だけ

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