【感想】「螺旋をほどく話」-People In The Box

 People In The Boxの新曲「螺旋をほどく話」及び新しいアルバム『Camera Obscura』が5月9日にリリースされることが発表されました。3日連続でMVのティザーを公開するという奇行も見られましたが、久しぶりのアルバムなのでこちらとしてもウキウキですよ。前作『Tabula Rasa』から約3年半ぶりのアルバムというわけでそりゃあ楽しみってもんです。

 そんなこんなでリードトラックとして公開された「螺旋をほどく話」。

 音の作りとしては『Talky Organs』の頃の質感に近い感じ。ただ、あの頃の無機質さではなく、ここ最近のアルバムからも感じられた日常風景を切り取ったような温かみが曲全体に纏われている。それでいて展開は緩急がしっかりと付けられていて、穏やかでありながら躍動感も漂う絶妙にリードトラック感のある一曲となっている。

 歌詞の冒頭から出てくる”gobbledygook”という単語は日本語に訳すと「難解な」といった意味になるが、そういった意味合いよりも単語自体に個人的には惹かれるものがあった。なぜかといえばSigur Rosの『残響』というアルバムの1曲目のタイトルがまさにこの「Gobbledigook」であるからだ。向こうの曲はかなり原始的な解放感を感じさせる素晴らしい名曲(でもありMVの内容が年齢制限をかけられていることでも知られる)なので何度も聴いたことがあり、なんとなくそちらと結びつけて勝手に面白がっている。

 あとは『Tabula Rasa』の特に「ミネルヴァ」で顕著だったが、今回も歌詞でゴリゴリに韻を踏みまくっている。言葉選びの面白さは前々から重々承知しているので、それで押韻をされると口に出したときの気持ちよさがそれは良い。なんかそういったトレンドに入っているのかはたまた方向を変えたのかは知らないが、ワードセンスが好きなことには変わりないので、いいぞもっとやれ、という気持ちはある。

 アルバムの雰囲気としてはこの曲と収録曲のタイトルからして『Kodomo Rengou』みたいな感じになるのかなと思いつつ、来る5月9日をひたすら心待ちにしている。しているのだけれど、Amazonに早速予約しに行こうと思ったらないんですね、これが。会場販売と公式通販限定リリースなんですね、これが。

 前作『Tabula Rasa』もはちゃめちゃに良かっただけにもっとオープンに売って欲しいという気持ちがあるが、今はストリーミングで公開すればいいからみたいなスタンスなのだろうか。自分は公式通販で買うだろうけど、Spotifyでも聴くことはあるだろうしそれを考えれば賢い選択ではあるのかもしれない。

 ともかく久しぶりの新譜ということで首を長くして待ってます。

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