【名盤】八十八ヶ所巡礼-『SYG88』

 八十八ヶ所巡礼の2枚目のアルバム。前作から1年後にリリースされ、相変わらずの魅力を更に一歩進めたような正統進化のような作品となっている。

 本作を語る上で外せないのはM3″PALAMA・JIPANG”だろう。アルバムでは約8分もの長尺の曲になるが、その長さを全く感じさせないほど構成に優れたとんでもない曲になっている。組曲じみた構成はさながらプログレといった感じだが、展開の移り変わりは冗長さもなく、流れるように曲は進行していく。持ち前のテクニックを前回に発揮し、辺りを駆け回るギターはこれでもかと主張をしてくる。この曲を聴くだけでもアルバムを購入する価値があると思う。マーキームーンのような存在感のある曲だ。

 ”PALAMA・JIPANG”がアルバムの中でも異質ではあるが、全体的には4分前後の曲で占められている。M4″SYG88″はアルバムタイトル曲でもあるが、曲としては2分ちょいで終わる長さとなっている。愉快な目覚まし時計のような雰囲気を持つ不思議な朗らかさを感じる曲である。

 炸裂するエネルギーをメロディアスに奏でるのが魅力であるが、最後のM8”幽兵衛no幽鬱”では怪談じみたテイストの歌詞が物語のように進行していく、なんとも切ない曲となっている。江戸時代にネオン街があったらこんな雰囲気だったのかもしれない。

 このクオリティを前作から1年で出せてしまう辺り、脂がのっていると感じる1枚である。内容としてはとにかく”PALAMA・JIPANG”の素晴らしさが際立っていると思うが、全体的にさらに深みを増していて、八十八ヶ所巡礼の中でも迷わずおすすめできるアルバムの一つである。ぜひ聴いてほしい。


(なぜか年齢制限がかかっているけど、誤解のないように言っておくと曲は最高です。手に持っているのがアレなだけです)

タイトルとURLをコピーしました