【感想】People In The Box-『Wall, Window』

2014年リリース、People In The Boxの5枚目のアルバム。

 アニメ東京喰種のエンディングテーマ「聖者たち」シングルとの同時発売ということもあって、この時期にPITBを知った人も多いのかもしれない。それを意識しているのかはわからないけど、比較的とっつきやすい曲が並んでいるアルバムだと思う。

 最初のM1″翻訳機”からして爽やかなラブソングのような雰囲気をまとっているし、M3″手紙”やM5″花”なんかは童謡じみた朗らかささえ感じる。

 全体的な印象としてはジャケットの通り、清涼感をまとったアルバムとなっている。かと思えばM2″影”では隠しきれなかった毒が顔を出していたり。「ピエロは肉を食べる」なんて歌詞の入ったアルバムに清涼感を感じるのも変か?

 特に気に入ったのはM4″さまよう”、M6″おいでよ”、M9″あの頃”の3曲だった。どれも爽やかな曲ではあるが、そこはかとなく寂しさも感じるからか、妙に感傷的な気分になれる。「少女は理由もなく街をさまよう」、「ぼくはゆうれい そばにおいでよ」といった繰り返されるフレーズは一見なんてことないようでこれが曲と合わさると雰囲気を引き締める頭に残りやすいフレーズになっている。”あの頃”に関してはイントロの瑞々しさでもう優勝である。

 これまでになかった曲という意味ではM10「月」が印象的だった。アルバム終盤に配置されたピアノバラードだが、これ作れるんだったら鍵盤使った曲もっと押し出してもいいのでは、となった。後の『Kodomo Rengou』ではしっかり進化していた。ですよね。

 People In The Boxを初めて聞くのであればどのアルバムからがいいか、と言われたら個人的には3つの選択肢が思いつく。一つは律儀に最初の『Rabbit Hole』から聞いてみるというもの。もう一つは『Family Record』から聞くという選択肢(普遍的な名盤なので全人類に聞いてほしい)。そして最後にこの『Wall, Window』から聞くという選択肢である。やはり聞きやすさという意味ではこのアルバムが一番だと思う。

『Wall, Window』
1.翻訳機
2.影
3.手紙
4.さまよう
5.花
6.おいでよ
7.馬
8.もう大丈夫
9.あの頃
10.月
11.風が吹いたら

(ものすごく個人的な意見としてMVを「翻訳機」と「聖者たち」の2曲セットにしたのはもったいないと思った。せめて「聖者たち」は独立したMVにしてれば今頃再生回数も倍以上あったはず)

タイトルとURLをコピーしました